※この文章の作者は理学療法士であり、米国のオステオパシー医学界における頭蓋ベーシック40時間を受講し認定を受けています。

 

 

 

頭蓋骨から仙骨は構造的な面、それからエネルギー的な面で人体の象徴となる部位です。オステオパシーではDr.サザーランドが、頭蓋骨を見た時にその縫合が魚のえらのように見えたことから研究が始まりました。サザーランド博士は自分で頭蓋骨を締め付けるようなヘルメットを作り、頭蓋骨の病変が人体に与える影響を考察しました。それが頭蓋オステオパシーの始まりです。

 

 エネルギー的に見た場合古代インドから伝わっている仙骨から頭頂に抜けるエネルギーの流れ(スシュムナー)があります。仙骨から頭蓋骨は7つのチャクラ、つまりエネルギーが流入するポイントがあります。特に頭部にはアジナ(眉間)とサハスラーラ(登頂)があり、上位のチャクラの重要な部分になっています。この辺りのことはエネルギー的な話のページで紹介します。

 

 胎生学的にみても背骨の中心線(ミッドライン)から人の身体が発生ししています。重力下で生きている以上背骨に問題がない人はほぼいないでしょう。頭蓋骨も同様に言えます。

 

 

 頭蓋骨から仙骨のバランスはその人の健康状態に大きく影響を与えます。なぜ頭蓋仙骨の治療が必要なのか。どういった効果があるのか。まずは構造的な面から私なりの考察を書いていきます。

 

 

 

構造的な面

 

 

 

頭蓋骨の構成

 

 

頭蓋骨は全部で23個の骨によって構成されています。発生学的に、胎児期にはもともと柔らかい骨が徐々に硬化して頭蓋骨を形成していきます。大泉門や小泉門と言った縫合部分にある穴は出生後に閉じていきます。多くの血管・神経、そして脳の入れ物となる頭蓋骨ですが、先に脳・神経系が発達し血管が通り、その通り道を覆うようにして頭蓋骨が形成されていきます。つまり、神経系や血管の機能が先に作られてからそれに合わせて構造が完成していくということになります。

 

頭蓋骨の模型を見ると初めから神経の穴や縫合、血管の通り道があって、そこに合わせるように脳や神経・血管が出来たと思いがちですが、実はその順番は逆ではないかということが最近分かってきています。機能が先にあり、その後構造が出来上がった。まさに生命の神秘と言えます。

 

 

 

頭蓋骨の歪みについての誤解

 

頭蓋骨の歪みのパターン(ストレインパターン)は主に蝶形骨と後頭骨の結合(蝶形後頭結合)の捻じれから派生して名前がつけられています。
そのパターンは人体にとって有害なものもあるかたわら、歪みのパターンがあったとしても問題のない場合もあります。つまり、機能的に問題がなくその人にとってはそれが正常ということです。多少の歪みや捻じれのパターンは誰しもが持っており、完璧に左右対称の人はいません。そこを忘れてはいけません。なぜなら完璧に左右対称を目指し、小顔矯正などを受けて逆に体調を崩してしまう方が後を絶たないからです。つまり、歪みのパターンがありつつも正常に働いていたその人の頭蓋骨が無理な矯正により、新たな歪みのパターンを受けてしまうからです。

 

 

試しに下の画像の顔を見てみてください。

とても素敵な笑顔をしています。この方がなにか特別症状があるわけでもなく至って正常です。でも、このように線を入れてみるとどう見えますか?

 

 

 

 

左の耳が右耳より下がっているのが分かりますか。左目もやや下がり気味です。顎が右にややズレているのも気になるでしょう。
このような歪み方のパターンは蝶形骨と後頭骨の結合から見て、右捻転と呼ばれています。
しかし、この歪みのパターンがあるからと言って、それは異常とは言えません。
正常な状態なのに、わざわざ異常な状態にしてしまう。その行為こそ異常と言えるのではないでしょうか?

 

 

 

 

頭蓋骨の動き・リズムとそのメカニズム

 

頭蓋骨は独自のリズムを持って動いています。
その動きが身体全体に波及しており、呼吸や心臓の動きとは別のリズムで同様に身体も動いており、触知が可能です。
その動きを第一次呼吸メカニズム(PRM)と呼びます。

 

サザーランド博士によって提唱されたPRMは、伝統的なオステオパシーの基本モデルになります。
PRMを構成する要素として

 

1. 中枢神経(脳と脊髄)の固有運動
2. 脳脊髄液の波動
3. 頭蓋内膜と脊髄内膜の相互張力
4. 頭蓋骨の関節の可動性
5. 両寛骨間の仙骨の不随意的運動

 

です。この要素をそれぞれ見ていきます。

 

 

 

1.中枢神経(脳と脊髄)の固有運動

脳自体が固有のリズムで動いています。
この固有の動きは色々な説があります。
脳脊髄液の産生と排出によりリズムが生まれているという説。脳自体がリズムを持って動いているという説があります。脳と脊髄が持つクラゲ様の固有運動は、外科手術で見られ、また科学の世界でも認められています。
このように固有の動きを持つ中枢神経ですが、ここで疑問が生まれます。いったい何によって中枢神経は動かされているのでしょう?
PRMを提唱したサザーランド博士は晩年のインタビューにて「何がPRMを動かしているのか?」という問いに対して「分からない」と答えています。これはどういうことなのか。このことの考察はエネルギー的な部分で書いていこうと思います。

 

 

2.脳脊髄液の波動

脳脊髄液の産生と再吸収に関わる機能です。脳脊髄液のほとんどは側脳室の脈絡叢で産生され、静脈系に還流し再吸収されます。脳と脊髄を包む膜に外に通じる経路があり、そこを辿って脳脊髄液は中枢神経外に出ます。それが身体中に伝わる微細な波となって現れます。膜にある微細な管を通って全身への還流を促しています。
スティル博士はこの脳脊髄液を「人体において知られている至高の要素」と表現しています。

 

3.頭蓋内膜と脊髄内膜の相互張力

頭蓋骨内の硬膜・くも膜・軟膜という膜組織は頭蓋底を通り、そのまま脊髄に連続してつながっています。この膜組織はコラーゲン繊維でできているため柔軟性に乏しく硬い組織のように見えます。しかし、実際に生きた解剖を見たことがある人の話を聞くと、みずみずしくゼリー状でとても柔らかそうだったという話です。頭蓋骨内に張り付いている膜組織は脊髄硬膜となりそのまま仙骨へとつながります。この膜組織の相互張力によって頭蓋骨の動きが仙骨まで伝わり、人が生きるのに必要な動きを生み出しています。

 

 

4.頭蓋骨の関節可動性

頭蓋骨は23個の骨で構成され、100の縫合によって結合されています。このわずかな縫合や関節の動きによって頭蓋骨のリズムが動く要因となります。つまり、これらの縫合や関節が適切にわずかに動いている必要があります。どこかの関節や縫合の動きが悪くなってしまうとそれは不調の原因となります。

 

5.両寛骨間の仙骨の不随意的運動

脊髄硬膜は仙骨の第1、第2仙椎に付着し、頭蓋底である大孔と結ばれます。その結果、脳を覆う硬膜から脊髄硬膜までの張力が生まれます。これをコアリンクと呼びます。

 

これらの1〜5までの要素が頭蓋療法では非常に重要になります。
例えば打撲や打撃などで頭蓋骨に衝撃を受けたとします。
その衝撃は頭蓋内膜を歪み捻じれさせます。頭蓋内の膜の捻じれの影響で頭蓋骨の関節面の歪みや縫合の噛み合わせが悪くなっていきます。
そして、脊髄硬膜で繋がれた仙骨にも影響を及ぼしていきます。その影響は仙骨だけでなく通り道である脊椎にも現れるでしょう。
こうして一定の限度を超えると不調となって身体に現れてくるのです。

 

 

また、日々のストレスも頭蓋骨に影響していきます。
交感神経が優位になり、縫合や頭蓋骨の関節が硬化してくると、その影響で全身が歪んでしまうこともあります。
本来頭蓋骨にあるスムーズな膨張と収縮の動きが乱れ、動き自体も小さくなり、疲れやすくなったり、身体が痛みやすくなり、不定愁訴の原因になってしまいます。
実は目の奥にも縫合があり、そこが固まってくると眼精疲労の原因にもなります。
頭蓋骨の関節の硬さや歪みを解消させることで、衝撃などの後遺症、深い睡眠、自己治癒力・免疫力の改善、全身の緊張感の解消が望めます。

 

 

 

脳脊髄液の循環とそのサイクル

脳脊髄液の産生と再吸収による循環によって頭部は一定のリズムで膨張と収縮を繰り返しています。
一分間に平均して8〜12回の動きをします。

 

この動きをCRI(クラニアルリズミックインパルス)といいます。

 

オステオパシーを学び始めたころ、このCRIのリズムの強弱や質、左右差などを重視して施術を行うように指導されました。
ただ、経験としてこのリズムの改善が患者さんに対して良い効果を与えていたのかというと、正直良く分かりませんでした。
私自身もこのリズムに合わせた頭蓋治療を受けたとしても余り変化を感じられなかったのが正直なところです。

 

 

 

実際に海外に行き、サザーランド博士から伝承されているドクターたちからの本当の伝統的なオステオパシーを学ぶにつれて、CRIを重視した施術は実は間違いなのだと気づいてきました。

 

 

この一分間に8〜12回というリズム自体に治癒の力はありません。

 

 

 

伝説的なオステオパスであるフルフォード博士もCRIに関しては懐疑的でした。
彼はそれよりも実際の呼吸運動の方を注視していたと言われています。

 

 

 

呼吸運動に同期しながら触診を続けていくとより深いダイナミックなリズムが生まれてきます。
それは身体全体で感じるものです。
長いものだと数分間に一回というサイクルもあります。
言葉で定義するならロングタイドとオステオパシーでは言われています。

 

それこそが本来の治癒の力であり、私たちを生かしてくれているものでもあります。
そして、さらなる深い治癒へとつながっていくのです。

 

 

 

 

 

当院で行っている頭蓋仙骨療法の方針と原則

マッサージやストレッチ、また強い力を使ったとしても、神経系がそれを拒み、身体の深いところまでの解放は起こりません。
特に頭蓋仙骨系の領域は身体にとって最深層に当たります。

 

 

脳・脊髄神経

脳・脊髄を覆う膜(硬膜・くも膜・軟膜)

脊椎・頭蓋骨

深層の筋・表層の筋

脂肪組織や皮膚

 

 

大まかに身体の深いところから上記のような順で層状に人体は構成されています。

 

そして、この層の間を筋膜組織などの結合組織がつないでいます。

 

その間を神経・血管・リンパが通っています。

 

 

人体は解剖学の本に乗っているように、骨、筋肉、靭帯、内臓といったように分離されて構成されていません。

 

それらをつなぐ結合組織(筋膜)によって成り立っています。

 

 

頭蓋骨を調整していく上でこのような解剖学的知識は必須になります。

 

 

施術の仕方

 

まずは頭蓋全体を優しくホールドします。
先入観を排除した状態で、無心に頭蓋骨の形、歪み、動きのリズムを感じ取ります。
動きのリズムが感じられたら、動きの質、早さ、左右バランスなどを感じていきます。
左右の脳室の状態、脳のコイル状の動き、脳脊髄液の循環、身体全体のバランスなど多くのことにフォーカスしていきます。

 

ほとんどの人は、なんらかのアンバランスがあります。
徐々に細部に神経を配り、縫合での滞りや、膜が緊張している場所を把握して行きますが、これらは全て頭蓋全体の触診により行っていきます。

 

 

 

層になっている頭蓋骨内の組織をつなぐ筋膜や結合組織は歪みや捻じれ、衝撃などの動きを記憶しています。
これらの記憶されてしまっている動きや捻じれを丁寧に解消させていくことをしていきます。

 

 

基本的には強い力を使わず、そっと頭に触れ頭蓋骨の持つ呼吸、それから胸郭呼吸に合わせて触診していきます。

 

 

 

そうすることで、内在している頭蓋骨内膜、や筋、筋膜に記憶されている捻じれ・歪みが自然と現れてくるのを待ちます。

 

ゆっくりとその捻じれが逆再生されるかのように組織が動き出します。
この動きはミリ単位で起こってきます。

 

 

受けられている方は、心地良い感じや、感覚の良い方は何か動いていているような感じを受ける方もいます。
大半が寝てしまうほどの優しい動きになります。

 

 

 

その微細な動きに追従していくように無心で触診を続けます。

 

 

 

やがて結合組織に貯めこまれている歪みや捻じれが解消されてくると、動きがなくなって静かになっていきます。

 

 

歪み・捻じれの動きがなくなって静寂な状態。
その状態になるまで静かに待ちます。

 

 

静かになったと思ったらまた動き出すこともあります。
これはその人に貯めこまれた捻じれや歪みの蓄積によってプロセスが異なってきます。

 

表層の筋膜、頭蓋骨、頭蓋骨内膜などの組織の緊張や捻じれがとれてくると、さらに深い層の脳や脊髄神経、自律神経の動きが出てきます。
この段階に行くには何度かの施術が必要になります。
そして、脳や神経系の動きも落ち着き、次第に動きがなくなっていきます。

 

そこでエネルギー的な側面で詳しくは書きますが、人が生きるために必要な健全の力が入ってきます。

 

私たちはその力によって生かされています。

 

 

 

静かな動きのない状態になったら、その日の施術は終わりになります。
そこから、あなた自身の身体のヒーリングプロセスが始まります。

 

施術終了後は
「すっきりした」
「目が大きく開くようになった」
「なんだかどこかに行っていたみたい」
「こんなにぐっする眠っていたのは久しぶり」
というような感想を頂いたりしております。

 

 

 

 

 

頭蓋骨アプローチの例

 

 

副鼻腔炎に対するアプローチ

 

 

副鼻腔炎とはいわゆる蓄膿、鼻づまりです。
ひどい状態になると顔面痛や頭痛を伴い、鼻汁も黄色く変色してきます。

 

 

副鼻腔は前頭骨と上顎骨の間にあり、そこにそれぞれ前頭洞、篩骨洞、上顎洞、蝶形骨洞と空洞があります。この空洞のことを副鼻腔と呼びます。
免疫反応(風邪)やアレルギー反応により鼻腔に炎症が起こると膿が発生します。その膿が副鼻腔に溜まってしまうと中々排出されづらくなり、副鼻腔自体にも炎症が起こってしまいます。

 

副鼻腔炎は蓄膿症とも呼ばれ、長引きやすく、鼻づまりや頭痛、圧迫感等の不快な症状となり、日常生活や勉強、仕事の能率が著しく落ちてしまいます。
また、余り長い期間放置しておくと癌化しやすく(特に上顎癌)、視力低下や鼻出血、悪臭のする鼻汁など症状は深刻化しやすくなります。

 

 

 

副鼻腔炎の一般的な治療法

抗生物質やステロイドによる薬物療法や直接膿を除去したり、骨を切って副鼻腔を広げる外科手術などが行われます。
いずれにしても、一般的には長引きやすい病気と言われています。

 

 

副鼻腔炎に対しての施術

 

・まずは身体の状態を改善する
副鼻腔炎を患っている方は必ず身体にリンパ廃液を妨げる要素があります。

 

 

特に

 

小脳テント

 

上胸隔膜

 

横隔膜

 

骨盤隔膜

 

 

 

というように身体を横にさえぎる隔膜の状態を見て、捻じれや歪みがあるようであれば解消させていきます。
これをしないといくら副鼻腔にアプローチしたところで廃液が促されません。

 

 

 

・前頭骨、鼻骨、上顎骨、頬骨を含む副鼻腔に関わる骨へのアプローチ

 

頭蓋骨は脳脊髄液の波動と共にリズミカルに微細な動きを常にしています。

 

副鼻腔炎を伴っている方を施術している時の印象として、膿が溜まっている時の初期の状態では、このリズミカルな動きが弱く、また奥の方に粘着質なものが溜まっているような嫌な質感がします。
前頭骨、鼻骨、上顎骨辺りの骨の動きは非常に微細であり、繊細な部分でもあるので高度な触診技術が必要になります。

 

 

副鼻腔を形成する骨やそれをつなぐ縫合、結合組織の歪み・ねじれが取れてくるまで待ちます。(数分〜10分)

 

次第に骨自体の自然な動きが生まれ、落ち着いてきます。

 

施術直後よりも、施術後1日〜2日してから楽になってくるという方が多いです。
身体の自然治癒力によって廃液が促されるのには施術後から少し時間が必要なようです。

 

 

 

・実際の施術

 

数回の施術で劇的に改善する方もいますが、数か月の施術で少しずつ改善していく方もいます。
長年苦しまれてきた方に対しても、症状が改善した実績があります。

 

まず初回は身体の状態を見て、廃液を妨げている要素を解消させます。
その後、上顎骨と前頭骨を中心にゆるめ、副鼻腔に働きかけます。
次回以降もその繰り返しになりますが、次第に手数は減っていきます。

 

副鼻腔だけでなくお身体の状態も良くなるので、おすすめです。

 

 

 

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